72年目の終戦
今日は終戦記念日。NHKスペシャルでは、太平洋戦争中になぜ無謀な計画が実行されていったのかを検証していた(「戦慄のインパール」)。しかし、TV番組欄をみる限り、終戦記念の特別番組はそれひとつだった。かくいう私も、さほど終戦記念日を意識していたわけではない。私達は、70年前に日本が体験した戦争を、ほとんど忘れ去っている。しかし、番組を見ているうちに、元兵隊たちの発言に引き込まれていった。
ほとんどが90歳代になっている彼らは、いかに自分たちの命が軽く扱われていたかを涙ながらに話していた。彼らの命を、突撃の命令ひとつで殺した牟田口司令官らは、戦況が悪化すると、自分の命大事といち早く日本に逃げ帰ったのみならず、戦後も生き延びて、「インパール作戦では日本軍はよく戦った、と敵イギリス軍の司令官から褒められた」と嬉しそうに話していたそうだ。尋常な神経とは思われない。そんな人間が指揮を取っていたのだ。当時、インパール作戦に参加し、その記録を克明につける役目を仰せ付かっていたある兵士は、「結局自分たちは消耗されるだけの部品だった」とむせび泣いていた。彼も負傷し、現地に取り残され、生死の境をさまよい、捕虜となってようやく生き延びたのだった。
今、殺人などが起こると大きなニュースになる。しかし、もっと大切なのは、大量殺戮を犯したヒットラーやインパール作戦を指揮した牟田口司令官らを含めた日本の指導者たち、および、半ば喜々として戦争に巻き込まれていった当時の一般の日本人の心理、あるいは原爆を広島や長崎に落として「壊滅させた」と喜んだ当時のアメリカ人たちの心理を考えることなのだと思う。それは現在の北朝鮮の指導者たちや人民の心理を知ることにつながるだろうし、もしかしたら彼らとの和解を探る手助けになるかも知れない。今のところ私は、世界情勢に関しては、そんなところにしか希望を見出せない。
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